分科会報告B
「テレワークと災害対策」


第3の分科会はテレワークと災害対策というテーマで、郵政研究所情報システム研究室長佐藤正典氏のコーディネートにより、神戸市立外国語大学図書館主査芝勝徳氏、ニフティ(株)取締役企画部長ならびにIFFのメンバーである学習院大学経済学部講師のウエンディ・スピンクス氏がパネルディスカッションが行なわれた。

阪神淡路大震災におけるコンピューター通信の使われ方については芝氏、山川氏が、今後の災害対策でのテレワークの活用についてはスピンクス氏が発表し、佐藤氏により民間企業の災害対策におけるテレワークヘの期待が、アンケート結果という形で紹介された。

●阪神大震災とインターネットによる情報発信

芝氏は神戸市職員であり、図書館司書であり、大学でコンピュータを教えている。彼は、今回の大震災に際して、インターネットを使った情報発信を行なった経験を発表した。

1月17日に地震が起こり、市役所のマニュアルだと連絡網で連絡することになっているが、電話と電気が使えない。そうこうする内に9時に電源が回復して9時半にはインターネットを使おうと判断した。

たまたま、条件がそろっていた。コンピューターに破損がなかった。普段から使っていた。さらに昨年から市政情報をインターネットで流していたので、翌日には市役所としての承認が得られた。

行なったのは、職員が自転車で集めた映像とコメントを流すことだった。

アクセスされた回数は3日後の1月20日が最大で1日4万回、1カ月後でも1万回である8割は海外であるいち早く対応したのは海外だった。1月20日にはワシントンポストに記事がのった。

反省しているのは、情報を官邸に送れたはずだったことや神戸市民には案外役立たなかったこと。避難所のパソコンはネットワークしていなかったのが悔やまれる。

●ニフティサーブと阪神大震災

山川氏からはニフティサーブの経験が報告された。
ニフティではもともと台風、地震、津波の情報サービスはしていたが、今回は様々なことが経験された。
1月17日早朝の地震発生時からユーザーによる掲示板への書き込みが始まった。流言卑語を恐れていたが、書き込み数が拡大するに伴い、午後には地震用の掲示板を設置。18日には地震関連の利用を無料にした。19日には新聞社から名簿をもらい死亡者リストを表示している。26日には「ボランティアフォーラム」と「公的機関からのお知らせ」の掲示板を作った。

2月9日には避難者所在地情報、3月1日には他めパソコン通信と共同でインターネットに情報を流すインターVネットを行なっている。
アクセスは1月20日が最大で1日14万回となっているが、被災地の人々の方が長い間使いつづけている。被災地では交通情報、公的機関のお知らせ、被害情報の人気が高い。

震災の経験を通じて、パソコン通信が蓄積型の情報メディアであるという長所が認識された。被災地からの通信を優先し、それを外の地域で蓄積しておけば、被災地の電話回線に負荷をかけずに情報が伝わる。反省点は、被災地側での利用はやはり即席ではうまくいかなかったことである。

●危機管理とテレワークの導入

スピンクス氏からは、午前中のセッションでのノースリッジ地震でのテレワークの報告(スーザン ハーマン氏)を受け、危機管理へのテレワークの導入が示唆された。

まず、危機管理には災害発生前の準備と災害発生後の復旧時での相違工夫があり、ロサンゼルスでは災害発生後にテレワークが拡大したことが重要である。竹村氏の講演で「日本人は壊れた鉄道の線路上を何時間も歩いて会社に向かう」工夫のなさ、日本人の古くさい気質が指摘されたが、そのとおりだと考える。

しかし、ロサンゼルスでは、もともと35万人のテレワーカーがいたノウハウがあったことは見過ごせない。神戸ですぐにできるかと言えばそうではなかっただろう。本腰を入れて、企業でテレワークを推進していく必要がある。日米カナダでの比較調査の結果、上司は7やはりテレワークには懐疑的だということが共通している。しかし、米国では、本腰を入れた社会実験の結果、生産性の向上につながっているという調査結果がでている。

●被災企業とテレワークの可能性

佐藤室長から、興味深いアンケート結果が示された。被災企業のうち、26%は他の拠点に業務を移した、また最寄りの事業所や自宅で勤務することを考えているのは14%ある。
また、佐藤室長から、行政には隣接市町村のでバックアップオフィスをつくってはどうか、パソコン通信のCUG(特定利用者のみの利用サービス)が企業LANの代用になるのではないか、企業が持つ営業所や自宅などでのテレワークは有効ではないかとのまとめがなされた。

●会場からの意見


(株)住信基礎研究所
岡辺 重雄