第18回研究発表大会報告
実行委員長 三浦拓馬
2016年度の研究発表大会は、7月2日、3日の2日間に亘り、東京千代田区竹橋の「ちよだプラットフォームスクウェア会議室」で開催されました。会員の皆様には休日にも係らず多数ご参加いただき、心から感謝申し上げます。
以下、発表大会のご報告を申し上げます。
1 開催の概要
●開催日時 7月2日(土)10時から20時
7月3日(日)10時から16時
●開催場所 ちよだプラットフォーム
スクウェア5階会議室
東京都千代田区神田錦町3‐21
●参加の状況
参加者数は、サイトからの申込並びに当日受付の参加者を加えた総数は77名となりました。(会員47名、学生7名、非会員23名)また、懇親会の参加者も44名となり、大変な盛り上がりとなりました。
2 開催テーマと研究発表
今年度は、全体テーマを「激動の時代を切り拓くテレワーク~自律と協働・都市と地方のネットワーク拠点から新たな視点を求めて~」としました。さらにセッションテーマを設定しました。(カテゴリは従来通り、論文部門、報告部門、企画セッション部門の3種類に区分)
【セッションテーマ】
テーマA「定義」テレワークを再定義する
テーマB「空間」新しい「場」の創造
テーマC「経営」マネージャの意識改革がもたらす可能性
テーマD「社会」女性活躍社会への新しい視座
テーマE「一般」上記に該当しないテーマ
【全体テーマ・セッションテーマ設定の趣旨】
2016年は、社会、経済、政治、情報、国際、地域等様々な領域で「激変」を体験する年になると言われています。私たちの研究テーマであるテレワークもまた、この「変化する潮流」と無関係ではありません。そこで、いわゆる従来型のテレワークの研究領域、例えばワークライフバランス、BCP、地域活性化に効果的なテレワーク等という既成の枠組みを外し、より大きな視点からテレワークの在り方を捉え直してみようと考えました。
(テーマ別の趣旨は学会サイトご参照)
その結果、発表大会に寄せられた投稿並びに論文、報告、企画セッションの数は32件となりました。例年にない数です。
投稿頂きました論文テーマを集計すると以下のようになりました。
【セッションテーマ別投稿の分類】
●テーマA「定義」 3件
●テーマB「空間」 2件
●テーマC「経営」11件
●テーマD「社会」 1件
●テーマE「一般」15件
投稿の特徴は、テレワークとクラウドソーシングの関係性の研究が多く見られました。テーマ経営と、テーマ一般に件数が集中したのはそのためです。反対に、全国でもコワーキング、サテライトなどの空間の設置が注目される中では、テーマ空間の投稿は2件と少ない結果になりました。
また、テーマ社会に関しては、政府が推進する女性活躍への期待に関して1件のみという結果になりました。今後の課題として引き継ぎたいと思います。
なお、今回の発表の特徴としては、ジョブキャスティング研究部会が纏めた「テレマネージャ心得帖」(小冊子)を元に、そのアジェンダを構成する7つのテーマについて、それぞれの研究者が発表して行くスタイルは、初めての試みでした。新しい発表の形式として触発されました。
3 大会の成果
●基調講演
床桜英二氏(徳島文理大学総合政策学部教授)をゲストに迎え「徳島県神山町で実践する「集客交流産業論」に見るテレワークの成果から学ぶこと」というテーマでご講演していただきました。
過疎地がテレワークで変化する。そのための努力のプロセスを事例をもってご報告いただきました。地域行政、民間企業、各種団体などの連携の重要性が語られ、改めて地域テレワークの実践の課題と解決策を学ぶことができました。会場は満席。立ち見がでるほどの盛況でした。
●企画セッション
企画セッションでは、「これからのワークプレイスを考える」というテーマで3人の研究者から発表がありました。テレワークの「場」の概念の変化やこれからの流れを示す力のこもった内容となりました。
今後は、この発表を契機に、学会の研究部会に繋がっていくことになっています。多いに期待したいところです。
●シンポジウム・一般公開セッション
2日目の午後に開催された一般公開セッションでは、ジョブキャスティング研究部会が中心となり、主にクラウドソーシングの実践体験による様々な課題の提起並びに問題解決策が発表されました。
最初にゲストとしてお招きしたウシオ電機の皆様からは、社内で実践されたクラウドソーシングの体験から、運用サイドの様々な課題が提起されました。
また国立国語研究所(石黒圭先生指導)並びに一橋大学の皆様からは、クラウドソーシングの運用に係る言語表現の在り方を検証する発表がありました。国語学の専門の立場からの研究は、クラウドソーシングの深化にとって大変重要な指摘が満載でした。この取組も今後に繋がる研究として期待されます。
●懇親会
1日目の夕方から開催された懇親会には、44名の会員、学生、非会員の皆様が参加されました。大会実行委員の木下巌氏の進行でスタートし、実行委員長の謝辞が行なわれた後、松村茂会長の発声で乾杯、市川前会長も駆けつけていただくなど大いに盛り上がりました。
最後に来年度開催が決まりました徳島を代表して、坂本有芳先生(鳴門教育大学)から次期大会開催地の宣言があり、中西副会長の手締めで次回の再会を約束しお開きとなりました。
●まとめ
今大会では、発表大会始まって以来の短大生の発表がありました。会津大学短期大学部の皆様のテレワークの評価は大変興味深いものでした。
また精神障害者支援をする専門家の方々の発表もありました。テレワークが社会とどのような接点を持つのか、その多様性が示された大会といえました。
有り難うございました。