第16回研究発表大会開催報告 大会実行委員長 松村茂

今年の日本テレワーク学会研究発表大会は第16回を数え、東京千代田区駿
河台の明治大学駿河台キャンパスリバティタワーで、7月5日土曜日と7月
6日日曜日の2日間にわたり開催されました。学会員のみなさまに支えられ
心配された雨も雲間から落ちることなく多数の来場者を迎え無事スタートを
切ることができました。

ICTによって変貌する企業と個人、仕事と生活、都市と地方、これらを広
範に研究領域とする日本テレワーク学会は、昨年の北見大会で学会提言
「トランスボーダー社会」を発表しました。今年の大会テーマはそれを受
け、本大会を本学会の新たなステージへの飛躍と願い「躍動へ ーグローバ
ル化する東京から新しいワークスタイルの発信ー」とし開催しました。

●基調講演
今回基調講演は大会テーマに沿い森記念財団普及啓発部長の礒井純充氏を
迎え、「『テレワーク』と『まちライブラリー』 本が人と人をつなぎ、顔
の見える関係性が社会構造を変える」と題して行いました。磯井氏は森ビル
の新しいワークスタイルへの挑戦であったアーク森ビルでの「アーク都市塾」
六本木ヒルズの「アカデミーヒルズ」の開設をリードした一人です。現在は
その経験を活かし次なる仕掛けとして、顔のみえるマクロローカル型の発酵
型地域施設「まちライブラリー」を提唱し全国に展開させる活動を行ってい
ます。
磯井氏は講演の中で、大都市や地方の枠を超えて超小規模のマクロローカ
ル型の仕組みがワーカーや市民の社会構造を変え、私たちが目指すテレワー
ク社会を作っていくと指摘しました。
テレワークが多様なワークスタイルを巻き込みながらメインストリームの
ワークスタイルになっていく過程にある今、フェイスツーフェイスの持つ意
味や地方への普及を考える点で示唆の多いお話でした。直火式鍋と発酵型鍋
の比喩は地方へのテレワーク普及には不可欠な視点であり、地方と関わる学
会員には大いに参考になったことと思います。

●研究発表
今大会で発表された論文数・報告数は合計で26本でした。昨年の北見大会
が21本、一昨年の横浜大会が20本でしたので、大会参加者は毎年着実に増加
しています。企画セッションも2本ありプログラム構成を苦慮するほどでし
た。
論文・報告の発表テーマは多岐にわたりますが、記載されたキーワードで
数えますと「コミュニケーション」が7本、「クラウドソーシング」が6本、
「組織市民活動」が4本、「ワークライフバランス」、「SNS」、「仮想チ
ーム」、「コワーキング」、「地域活性化(振興)」などが2本でした。
テレワークの重要なキーワードである「BCP」、「エネルギー」は各1本
でした。東日本大震災以降注目度があがりましたが、今回は残念ながら多く
はありませんでした。

●企画セッション
企画セッションは「テレワークの社会的・組織的課題」と「『システム環
境構築研究部会』活動概要と研究成果の報告」の2セッションが開かれ、い
ずれも多くの参加者で賑わいました。奇しくもこの2つのセッションは、テ
レワークを言わばニーズとシーズから見たものであり包括的にテレワークを
捉えることになりました。内容はいずれもテレワークの最前線を提示した企
画セッションならではの醍醐味溢れるものになりました。

●シンポジウム(一般公開セッション)
2日目の午後には、会場を明治大学グローバルフロントの多目的ホールに
移し、JobCasting研究部会がリードしたシンポジウム「発注者から見たクラ
ウドソーシングの魅力 ー企業戦略から地域活性化までー」が開かれました。
パネリストには、日本を代表するクラウドソーシング企業、クラウドワー
クスの吉田浩一社長、クラウドソーシングを活用する側からは、地域ローカ
ル鉄道を運営する銚子電気鉄道株式会社参与、大田修作氏、地域の市民活動
家でNPO法人いちかわライフネットワーククラブの宮川はるみ氏、東工大の
学生で起業し教育アプリケーションを開発するフォレスト代表取締役、後藤
匠氏と多彩な顔ぶれで、オーガナイザーはジョブキャスティング部会主査の
熊野健志氏が務めました。クラウドソーシングの提供側と利用側からの白熱
したパネルディスカッションは、クラウドソーシングの新たな課題とワーカ
ーの未来をあぶり出し、予定していた時間を超え3時間半にも及び展開され
ました。

●大会懇親会
懇親会は明治大学大学会館で行いました。今回の副大会実行委員長兼運営
委員長の柳原先生の進行でスタートし、市川会長のご挨拶、大会実行委員長
の挨拶の後、國井副会長の発声で乾杯、基調講演の礒井氏も加わり和やかに
進行しました。懇親会は年に一度の情報交換する大切な機会になっており、
今年も多くの方が参加しました。最後に関西支部長の下崎先生から次期大会
開催地の宣言があり、小豆川副会長の手締めで次回の再会を確信しお開きと
なりました。

●むすび
多くのみなさまに支えられ今大会無事に終了することができました。厚く
御礼を申し上げます。残念ながら参加されなかったみなさまには、是非とも
予稿集をお買い求め頂き、本稿を参考に机上大会を開催して頂ければと思い
ます。
来年の大会にはさらに多くの学会員のみなさまのご参加を期待しております。

第16回日本テレワーク学会研究発表大会実行委員長 松村茂(学術部長)